2026年10月02日

ホワイトニングの頻度は、選択する施術の種類によって考え方が異なります。
歯科医院で行うオフィスホワイトニングは1〜2週間に1回のペースで2〜3回程度を初回の目安とし、自宅で行うホームホワイトニングは1日1回を2〜4週間ほど継続して1クールとするのが一般的です。
そのうえで、白さを保つためのメンテナンスは、施術の種類にもよりますが数か月〜1年に1回程度が目安とされています。
ただし、これらはあくまで一般的な基準であり、歯の状態や目指す白さによって個人差が生じます。
この記事でわかること
- オフィス・ホーム・デュアルそれぞれの初回の頻度・回数の目安
- 白さを維持するためのメンテナンス頻度と、やりすぎを避けるべき理由
- 効果の持続期間・後戻りの仕組み、知覚過敏との付き合い方と白さを長持ちさせるコツ
本記事で紹介する回数・間隔・持続期間は一般的な目安であり、適切な頻度や施術の可否は歯の状態を診たうえで歯科医師が個別に判断します。
ホワイトニングは自由診療(保険適用外)であり、効果や白さの程度を保証するものではありませんのであらかじめご了承ください。
ホワイトニングの頻度は「種類」と「目的」で変わる
ホワイトニングの頻度にすべての人へ共通する画一的な基準はなく、選択した種類と施術の目的によって適切なペースが変化します。
歯科医院で薬剤と光を用いて行う「オフィスホワイトニング」、自宅で専用マウスピースを用いて行う「ホームホワイトニング」、その両方を組み合わせる「デュアルホワイトニング」では、1回あたりの作用機序が異なるため、通院間隔も使用頻度も同一にはなりません。
さらに重要なのは、「目標の白さまで引き上げる初回のフェーズ」と、「引き上げた白さを保つ維持のフェーズ」で頻度の捉え方が大きく異なる点です。
初回は比較的短い間隔で施術を重ね、目標の明度に近づいた後は間隔を大きく空けて定期メンテナンスを行うのが一般的な流れとなります。
ホワイトニングの適切な頻度について迷う場合、この「初回フェーズ」と「維持フェーズ」の情報が混同されているケースが少なくありません。
まずはご自身がどちらの段階にあるのかを整理することで、必要な間隔を把握しやすくなります。なお、提示する回数や間隔はあくまで一般的な目安です。
歯の質、もともとの歯の色調、目指す明度、知覚過敏の生じやすさによって適したペースは異なるため、実際の計画は歯科医院での診断のもと決定します。

ホワイトニングの3つの種類(オフィス・ホーム・デュアル)
頻度を検討する前提として、3つのホワイトニング方式の基本構造を整理します。それぞれ施術場所、使用薬剤、アプローチが異なり、それが頻度の差につながります。
- オフィスホワイトニング:歯科医院にて歯科医師または歯科衛生士が薬剤を塗布し、必要に応じて光を照射して行う方法です。短期間で歯の明度を上げるアプローチとされ、通院を重ねて進行します。
- ホームホワイトニング:歯科医院で作製した個人専用マウスピースに薬剤を注入し、自宅で装着して行う方法です。比較的一定の濃度に調整された薬剤を毎日使用し、日数をかけて徐々に作用させます。
- デュアルホワイトニング:オフィスホワイトニングとホームホワイトニングを組み合わせて並行して行う方法です。歯科医院での施術と自宅でのケアを併用するため、通院と自己管理の双方を要します。
手法に絶対的な優劣はなく、通院可能な頻度、自宅ケアの継続性、目標とする時期などの条件によって適した選択肢が異なります。
どの方法が適しているかは、歯の状態も含めて歯科医院で相談の上決定します。
「白くする頻度」と「白さを保つ頻度」は分けて考える
ホワイトニングの頻度は、以下の2つのフェーズに分けて考えると構造が明確になります。
- 初回フェーズ(白さを引き上げる期間):目標とする明るさに達するまでの期間です。オフィスホワイトニングであれば1〜2週間に1回のペースで2〜3回程度、ホームホワイトニングであれば1日1回を2〜4週間継続するなど、比較的分密なスケジュールとなります。
- 維持フェーズ(白さを保つ期間):目標明度に達した後、後戻りの程度を確認しながら再施術を行う期間です。数か月〜1年に1回程度と、間隔は大きく広がります。
「毎日」「2週間に1回」「半年に1回」など多様な情報が存在するのは、この2つの異なるフェーズの数値が混在して解説されているためです。
現在の状態が「白さを引き上げている段階」か「維持している段階」かを区別して把握することが重要です。
オフィスホワイトニングの頻度・回数の目安
オフィスホワイトニングにおける初回フェーズは、1〜2週間に1回のペースで2〜3回程度の通院を目安とするのが一般的です。
短期間で歯の明度を上げる処置ですが、目標とする明るさに到達させるには複数回の施術を重ねるプロセスが標準的です。
日本歯科医師会が運営する「テーマパーク8020」の解説によると、歯科医院で行う漂白(オフィスブリーチ)は1回の所要時間が約1時間程度であり、通常3〜6回の通院が必要とされています。
したがって、2〜3回で目標に到達する場合もあれば、もともとの歯の色調や目標とする明るさによって必要な通院回数には幅が生じます。
オフィスホワイトニングで使用される薬剤は、比較的高濃度の過酸化水素等を含む歯科用医薬品です。
作用が強力であるため、連日連続で施術を行うのではなく、歯や歯肉の状態を確認しながら適切なインターバルを設けて進行します。
必要な回数には個人差があり、施術前に確実な回数を保証することはできません。
事前のカウンセリングおよび精密な診察に基づき、概算の回数と通院スケジュールの見通しを立てた上で治療を開始します。
初回で白さを引き上げるまでのペース
初回フェーズにおける通院ペースの設定には、大きく2通りのアプローチが存在します。
- 1週間に1回程度のペース:間隔を比較的分密に設定し、短期間で目標の明度へ近づけるアプローチです。特定の期日までに歯の明度を整えたい場合に検討されます。
- 2週間に1回程度のペース:一定のインターバルを確保し、施術後の歯の反応や知覚過敏の有無を確認しながら慎重に進行する方法です。知覚過敏の発現リスクが高い方や、初めての施術で薬剤への反応を慎重に見極めたい場合に適しています。
いずれのペースが適しているかは、歯の解剖学的状態、知覚過敏の生じやすさ、目標とする明度、および通院可能な環境によって異なります。
「早期に白くしたい」という理由で独断で間隔を詰めるのではなく、施術ごとに歯科医師が歯面の状態を観察した上で次回日程を決定します。
回数についてもあらかじめ固定せず、色調の変化を測定しながら調整するのが標準的です。
白さを保つためのメンテナンス頻度
目標とする明るさに到達した後は、維持フェーズへ移行します。
オフィスホワイトニングの場合、明度を維持するための再施術(タッチアップ)は半年〜1年に1回程度が一般的な目安です。ただし、この間隔は一律ではありません。
コーヒーや紅茶などの嗜好品を日常的に摂取する方や喫煙習慣がある方は、色素再着色(後戻り)の進行が早い傾向にあるため、比較的前倒しの段階で再処置が必要となる場合があります。
一方で、着色因子の摂取を控えている場合は、目安以上の期間明度が維持されるケースもあります。
メンテナンスの頻度は、所定の期間ごとに機械的に決定するものではなく、再着色の程度を視覚的・定量的に評価した上で決定します。
定期検診やPMTC(専門的歯面清掃)の際に色調を確認し、適切な時期に追加施術を導入する運用が推奨されます。
ホームホワイトニングの頻度・回数の目安
ホームホワイトニングは、1日1回・指定された時間のマウスピース装着を2〜4週間継続して1クールとするのが一般的な運用基準です。
オフィスホワイトニングのように通院回数で管理するのではなく、連続した着用期間で管理する点が特徴です。
使用される薬剤は主に過酸化尿素を含む歯科用漂白材であり、口腔内で徐々に分解されて緩やかに作用する化学的特性を持ちます。
1回あたりの作用が低刺激であるため、一定の日数をかけて段階的に明度を引き上げます。
装着時間や継続期間は処方される薬剤の濃度や製品規格によって厳格に定められています。
「2〜4週間」という期間はあくまで一般的な目安であり、実際に遵守すべき数値は歯科医師から示される用法・用言に従います。
なお、ホームホワイトニングであっても、専用トレー(マウスピース)の作製、薬剤の処方、経過観察および安全管理はすべて歯科医院の管轄下で行われます。
自宅で実施する手法であっても、自己判断による運用の変更は認められません。
1クールの期間と1日あたりの使用ペース
1日あたりのマウスピース装着時間は、処方される薬剤の濃度に依存します。
低濃度の薬剤は長時間の装着、高濃度の薬剤は短時間の装着という設計がなされており、同じ「1日1回」であってもプロトコルが異なります。安全に効果を得るため、以下の原則を遵守する必要があります。
- 処方された装着時間を超えて使用しない:装着時間を延長しても漂白効果が比例して高まるわけではなく、歯髄への刺激や知覚過敏、歯肉弁の炎症を引き起こすリスクが高まります。
- 1日に複数回の使用を行わない:効果の早期発現を狙って頻度を増やす行為は、メーカーおよび歯科医師が設定した想定用途から逸脱します。
ホームホワイトニングにおいて生じやすいトラブルは、効果を急ぐあまり独断で装着時間や回数を増やす行為です。
ホームホワイトニングは構造上、明度の変化が緩慢であり、初期段階で変化を実感しにくい場合がありますが、そこで使用量や装着時間を独自に変更すると、劇的な知覚過敏や歯肉障害を誘発する原因となります。
疑問点が生じた場合は使用を自己判断で変更せず、必ず歯科医師の指導を受けてください。
次のクールまで間隔を空ける目安
1クールの規定期間を終了した後は、一度使用を中断して経過を観察するのが基本原則です。
明度の戻り具合を観察しながら、一般的には数か月〜1年程度の間隔を空けた上で、セカンドクールの実施や短期間(数日〜1週間程度)の追加装着(タッチアップ)を行う方針が取られます。1クール終了直後に間髪を入れず次のクールへ移行することや、期限を定めず連日使い続ける運用は推奨されません。
その理由は以下の通りです。
- 薬剤との接触が長期間に及ぶことで、歯髄への持続的な刺激や歯肉組織の炎症を招く恐れがあるため
- 施術直後の色調は一時的な脱水症状等により実際より白く見える場合があり、一定期間経過して色が落ち着いた段階で評価する方が正確な追加必要量を判定できるため
追加適用のタイミングについては、定期検診時にシェードガイド(歯の色見本)等を用いて客観的に評価した上で決定することが推奨されます。
デュアルホワイトニングの頻度と進め方
デュアルホワイトニングは、オフィスホワイトニングとホームホワイトニングを複合的に組み合わせる手法であり、一般的には「歯科医院にて短期間で明度を引き上げ、並行して自宅でその色調を深部まで定着させる」という手順で進行します。
頻度に関しても双方の目安を統合してスケジュールを構築します。標準的なプロトコルの一例は以下の通りです。
- 歯科医院にてオフィスホワイトニングを1〜2週間に1回のペースで2〜3回実施する
- 上記の期間と並行、あるいは直後から、自宅にてホームホワイトニングを1日1回・約2週間継続する
- 目標明度に到達した後は、色調の推移を定期観察しながらメンテナンスフェーズへ移行する
院内での即効性と自宅での持続性を相乗的に活用する組み立てであるため、単独手法と比較して色調の到達度および持続期間に優れるとされています。
一方で、通院と毎日の自己管理の双方が不可欠となるため、患者側の臨床的負担は増大します。また、両手法の費用が合算されるため、全体的な経済的負担が大きくなる点も留意すべき要素です。
デュアルホワイトニングがすべての症例において最善の選択肢となるわけではありません。
通院に割ける時間、自宅ケアの確実な履行可能性、予算などを総合的に考慮し、患者個々の生活様式と口腔内環境に適した手法を選択することが重要です。
ホワイトニングをやりすぎるとどうなる?適切な間隔が必要な理由
ホワイトニング効果の早期発現を期待して施術間隔を独断で短縮することは推奨されません。
一定の間隔を設定する背景には、歯髄や歯周組織への負担を軽減する安全設計が存在するためです。
ホワイトニング薬剤は、歯の内部構造(エナメル質・象牙質)へ作用し色調を明瞭化させます。この化学反応の過程で歯髄が一時的に熱・刺激に対して過敏状態となるため、組織が正常な状態へ回復するまでの待機期間が必要です。
回復期間を待たずに頻回な施術を行うと、重度の知覚過敏症状を誘発する恐れがあります。
また、薬剤が歯肉組織に付着した場合、一時的な白変化や化学的刺激による疼痛が生じる可能性があります。
施術頻度を過剰に上げることは、これら軟組織への不必要な刺激機会を増大させることにつながります。
「ホワイトニングを繰り返すと歯の構造自体が弱くなる」という俗説が存在しますが、歯科医師の管理下で適正に使用される範囲において、歯を構造的に破壊するという科学的根拠は確立されていません。
不必要な不安を抱く必要はありませんが、指定された施術頻度およびインターバルを遵守することが極めて重要です。
臨床上、頻度に関するトラブルが生じやすいパターンとして、以下の2点が挙げられます。
- 患者自身の判断により、指定された通院・装着間隔を詰めて実施するケース
- 歯科医院での施術と並行し、市販のホワイトニング製品を過剰な頻度で重複使用するケース
いずれも推奨される臨床プロトコルから逸脱した使用法であり、知覚過敏や歯周組織の炎症を引き起こすリスクを高めます。
決められた頻度と使用法を徹底し、異常を感じた場合は速やかに頻度を見直して歯科医師へご相談ください。
ホワイトニングの効果はどのくらい持続する?後戻りが起こる理由
再施術の適切なタイミングを策定する上で、効果の持続期間と再着色(後戻り)の機序を理解しておくことが不可欠です。
持続期間の一般的な目安は、オフィスホワイトニングで数か月〜半年程度、ホームホワイトニングで半年〜1年程度であり、デュアルホワイトニングは両手法の併用により比較的長期間維持されるとされています。
日本歯科医師会が運営する「テーマパーク8020」の資料によると、ホームブリーチ(トレーブリーチング)は1日2時間の装着を2週間継続する処置を基本とし、オフィスブリーチと比較して後戻りが緩やかである点が特徴とされています。
一方、オフィスブリーチは即効性が高い反面、漂白効果の出方および後戻りのスピードに個人差が大きいと説明されています。
ホームホワイトニングの持続性が比較的高くなる要因は、低濃度の薬剤を徐々に作用させることで、歯の深部まで色調変化が定着しやすいためです。
一方、オフィスホワイトニングは表面的な即効性に優れるものの、元の色調へ戻ろうとする知覚的な変化を感じるまでの期間が比較的短くなる傾向があります。
ただしこれらは標準的な数値であり、実際の持続期間は日常の飲食習慣、喫煙の有無、口腔衛生管理の状態によって大きく変動します。

後戻り(色戻り)が起こる主な原因
後戻りは「施術の失敗」によるものではなく、日常生活の中で外部からの色素が再び付着・沈着する(再着色)ことによって、徐々に元の色調へ近づく自然な生理現象です。
主な要因として以下が挙げられます。
- 色素の濃い飲食物の摂取:コーヒー、紅茶、緑茶、赤ワイン、カレー、ソース類など、ポリフェノールや強い色素を含む飲食物の継続的摂取
- 喫煙:タバコに含まれるタール成分(ヤニ)の歯面への強固な付着
- 加齢に伴う構造変化:エナメル質の磨耗や象牙質の厚みの変化に伴う自然な色調変化
- 不十分な口腔清掃:歯面にプラークやステインが残着・蓄積することによる明度低下
これらは日常生活における再着色因子であり、頻度を検討する際には施術スケジュールだけでなく、これらの生活習慣要素も考慮して再施術時期を判断します。
頻度を上げずに白さを長持ちさせるセルフケア
施術頻度を不必要に高めることなく明度を維持するためには、日常のセルフケアによって着色因子の沈着を防ぐアプローチが有効です。
次の習慣を取り入れることで、次回施術までの期間を適切に維持しやすくなります。
- 濃い飲食物の摂取直後に水洗口を行う:色素成分が歯面に長時間接触・停滞する状態を緩和します。
- 飲食後の速やかなブラッシング:時間が経過する前の清掃により、色素の固定化を防ぎます。
- ストローの活用:色素を含む冷飲料が前歯唇面に接触する機会を物理的に低減させます。
- 生活習慣の見直し:喫煙本数の削減などによりタールの付着機会を低減します。
- 定期的なPMTC(専門的歯面清掃)の受診:セルフケアでは除去困難なバイオフィルムや表層ステインを機械的に除去します。
特に注意を要するのが「施術直後の飲食習慣」です。ホワイトニング直後は歯面を保護するペリクル(獲得被膜)が一時的に剥離しており、着色物質を取り込みやすい状態となっています。
そのため、施術後一定時間は色の濃い飲食物の摂取や喫煙を控えるよう指導されます。制限時間は使用薬剤により異なるため、担当医の指示に従ってください。
なお、市販されているステイン除去用歯磨剤等は、物理的・化学的洗浄力により表面着色を落とすものであり、歯科漂白剤とは作用機序が異なります。
日常ケアの補助として活用できますが、漂白効果そのものを代替するものではない点にご留意ください。
ホワイトニングでしみる(知覚過敏)ときの原因と受診の目安
ホワイトニング処置中および処置後に、冷水痛や一時的な刺戟痛(知覚過敏)が生じる場合があります。
これは薬剤の作用機序に伴い比較的高頻度で観察される生体反応であり、多くは一時的なもので施術後数時間から1〜2日程度で自然軽快します。
疼痛が発生する理由は、過酸化水素等の成分がエナメル質を透過して象牙細管へ到達する際、歯髄神経を一時的に過敏状態にさせるためです。
既存の知覚過敏症状がある方や、歯肉退縮により象牙質が露出している部位が存在する方は、刺激を感じやすい傾向があります。症状発現時の一般的な対処法は以下の通りです。
- 硝酸カリウム等の知覚過敏抑制成分を含有する歯磨剤の使用について歯科医師に相談する
- 症状が消退するまで、極端な冷温熱刺激物の摂取を避ける
- 次回施術までのインターバルを延長する、または薬剤濃度・装着時間の見直しを行う
症状を増悪させないために最も重要なアプローチは「施術間隔の適正調整」です。ただし、以下のような症状が観察される場合は自己判断で施術を継続せず、直ちに歯科医師の診察を受けてください。
- 激しい疼痛が持続する、あるいは時間経過とともに増悪する場合
- 自発痛(刺激がなくてもズキズキ痛む状態)が存在する場合
- 数日が経過しても症状の改善傾向が認められない場合
- 歯肉の著しい発赤・腫脹や潰瘍形成を伴う場合
これらの症状がある場合、ホワイトニング以外の病変(未処置のう蝕、歯冠破折、歯髄炎、急性歯周疾患等)が併発している可能性が疑われます。
ホワイトニングは自由診療(保険適用外)と市販品との違い
歯科医院で実施されるホワイトニング治療は、原則として公的医療保険が適用されない「自由診療」に分類されます。
疾患の治療ではなく審美性の向上を主目的とする処置であるため、全額自己負担となります。自由診療であるため、治療費は各医療機関が独自に設定しており全国一律ではありません。
施術法(オフィス・ホーム・デュアル)や適用回数によって総額費用が決定されます。
長期的な維持を計画する際は、1回あたりの施術費のみならず、年間を通じたメンテナンス費用を事前に確認しておくことが推奨されます。
歯科医院で処方・使用される薬剤は、厚生労働省の「歯科用漂白材等審査ガイドラインについて」等に基づき、高度な安全管理のもと使用される医療用医薬品・医療機器です。
同ガイドラインにおいては、過酸化水素濃度が6.0%を超える製剤は劇物(毒物及び劇物取締法)の指定を受けるため、歯科医師による厳格な管理下での取り扱いが義務付けられています。
一方、ドラッグストアなどで市販される製品は、薬機法上、過酸化水素等の漂白成分の配合が認められておらず、歯の表面に付着した着色汚れ(ステイン)の除去や予防を目的とした医薬部外品または化粧品に分類されます。
歯科医院で取扱う歯科用漂白材とは成分および作用機序が明確に異なります。
自分に合った頻度・種類の選び方
患者ごとに適した施術頻度および選択すべき手法は、口腔内の解剖学的条件、う蝕・歯周病の有無、生活習慣、目指す色調によって異なります。
そのため、最終的な治療計画は歯科医師による精密な検査・診断に基づき決定されます。診察・カウンセリング時には、以下の情報を事前に整理して伝えると円滑な計画立案が可能です。
- 目標とする色調と達成希望時期:期日の有無により、初期フェーズの通院プロトコルが決定されます。
- 通院に確保できる時間と頻度:定期通院の可否によって、オフィス法かホーム法かの適性が分かれます。
- 知覚過敏症状の既往:冷水痛等の経験の有無は、薬剤濃度の選定およびインターバル設定の基準となります。
- 中長期的な維持に対する意向:維持フェーズにおける通院・ケアの継続性を事前に共有することで、持続的な運用計画が立案できます。
なお、ホワイトニング処置を開始する前段階として、既存う蝕の処置、不適合補綴物の修復、歯周病治療、および事前清掃(スケール除去)が不可欠です。
病変が存在する状態で薬剤を塗布した場合、重篤な歯髄炎などを引き起こす危険性があります。ホワイトニングを検討される場合は、事前に歯科医院にて精密な診察とカウンセリングを受けられることが推奨されます。
よくある質問(FAQ)
Q. ホワイトニング直後は飲食制限や喫煙制限がありますか?
施術直後はペリクル(獲得被膜)が除去されており、歯面が外部からの色素を取り込みやすい状態となっています。そのため、施術後一定時間はコーヒー、赤ワイン、カレー等の色素の濃い飲食物の摂取や喫煙を控えるよう指導されるのが一般的です。具体的な制限時間は使用する薬剤や施術法により異なるため、担当医の指示に従ってください。
Q. ホワイトニングは毎月やっても大丈夫ですか?
白さを維持するための定期メンテナンスは、一般的に数か月〜1年に1回程度が標準的なプロトコルであり、毎月の頻度で連続実施することは通常推奨されません。不必要に頻度を高めることは知覚過敏や歯髄への刺激リスクを増大させるため、再施術の可否は歯科医師による色調評価と歯の診断に基づき決定します。
Q. 差し歯やセラミック、詰め物もホワイトニングで白くなりますか?
ホワイトニング薬剤が物理化学的に作用するのは天然歯(有機質を含む歯体構造)のみであり、レジン(複合樹脂)、セラミック、金属冠等の補綴物・修復物の色調を変更することはできません。そのため、天然歯のみが明度上昇し、既存補綴物との間に色調の不調和が生じる可能性があります。人工物が存在する部位については、事前に全体の審美設計について歯科医師と協議する必要があります。
Q. ホワイトニングに年齢制限(未成年の施術)はありますか?
解剖学的に歯髄腔が広く、エナメル質・象牙質の石灰化が未完成である成長期の児童・生徒に対しては、歯髄刺激のリスクを考慮して施術を控える、あるいは制限を設ける臨床方針が一般的です。永久歯列の完成状態や歯根完成度をレントゲン画像等で総合的に判断する必要があるため、まずは専門医へご相談ください。
Q. 妊娠中やしみやすい人でもホワイトニングはできますか?
妊娠中および授乳中の方に対する安全性の確立(胎児・乳児への影響に関する疫学的エビデンス)が十分でないため、この期間のホワイトニング処置は原則禁忌(避ける方針)とされています。また、過酸化水素を分解する酵素が欠損している「無カタラーゼ症」の方は絶対的禁忌です。知覚過敏の傾向がある方は、薬剤濃度の緩和やインターバルの調整により実施可能な場合があるため、事前診断時にご相談ください。
まとめ
ホワイトニングの頻度は、「目標明度へ引き上げる初回フェーズ」と「明度を維持する維持フェーズ」に区別して管理することが基本的概念です。
初回フェーズの目安は、オフィスホワイトニングで1〜2週間に1回(計2〜3回程度)、ホームホワイトニングで1日1回(2〜4週間継続)であり、維持フェーズの目安は数か月〜1年に1回程度となります。
早期効果を求めて自己判断で頻度を増大させる行為は、知覚過敏や歯周組織の著しい刺激痛を誘発する原因となります。再着色を抑制する日常セルフケアを取り入れ、安全な管理下で明度を維持する視点が重要です。
提示した回数・期間は一般的な標準指針であり、実際の適応可否や最適頻度は個人ごとに異なります。ご自身の口腔状態に適合した治療計画については、歯科医師の診断のもと決定してください。
参考文献
- 日本歯科医師会 テーマパーク8020「ホワイトニング」
- 日本歯科審美学会「歯のホワイトニングについて」
- 日本歯科審美学会 ホワイトニングコーディネーター
- 厚生労働省「歯科用漂白材等審査ガイドラインについて」
監修者情報
アムール歯科新宿 院長
森戸珠美(もりと たまみ)歯科医師
略歴
- 1999年3月、都立八王子東高校卒業後、鶴見大学歯学部に入学。2005年卒業後、同大学歯学部付属病院の総合歯科・保存科に勤務し、う蝕(むし歯)・歯周病治療を専門に研鑽を積む。
- 2007年に医療法人社団真歯会理事に就任。
- やなぎさわ歯科クリニック、高月病院、常盤矯正歯科医院、昭島デンタルクリニックでの勤務を経て、アムール歯科新宿の院長に就任。一般歯科の臨床経験を基盤に、保存修復・歯周病治療を担当している。
- 医師紹介ページ
- https://amour-d.com/doctor/
